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珍客到来

みなさまこんにちは。
海獣ふれあいチームのMです。
今回は先日仙台うみの杜水族館にやってきた
珍しい生きものを紹介します。
といっても当館の展示生物の話ではありません。

それは冷たい雨が降りしきる夕方、
職員が退勤し始める時間帯のことでした。
夕方といっても日は短く、辺りは既に真っ暗。
その時、職員の誰かが防犯カメラに映る謎の影を見つけます。
場所は当館1階 山・里・川エリア。
コイやアユ、イワナそしてニホンリスなどの
広瀬川にすむ生きものたちを展示する屋外施設です。

日中の山・里・川エリア

音も無く飛んできたその影は、
午前中はニホンリスが走り回っている金網パイプの上に降り立ちます。
音が無いのは防犯カメラの映像なので当たり前ですが、
実際にほとんど音は無かったはずです。
なぜならカメラに映し出されていたのは
ミミズクだったからです!
フクロウの仲間は夜に狩りをするため、
獲物に気づかれないよう
ほとんど音を出さずに飛ぶことができます。

最初の目撃現場

みなさまもご存知の通り、フクロウの仲間は夜行性ですので
野生の姿を見る機会はなかなかありません。
私もカメラ越しとはいえ、初めての経験でした。
帰宅前の職員みんなでモニターの前でワイワイ見ていたのですが、
そのうちカメラの視界の外へ飛んで行ってしまいました。
その時点でも珍しいものを見たもんだと満足していたのですが、
展示から事務所に戻った職員の話によると
まだ山・里・川エリアにいるとのこと!
さっそく自分の眼で確かめに行きます。

エリアの外側から静かに覗いてみると、
ちょうど防犯カメラの上に
ちょこんと意外に小さな姿が見えます。
なるほどこれではカメラに写らないはずです。

カメラの死角に潜む影

とりあえず遠目から写真を撮った後、
今度は何食わぬ顔で通路を進んでいきます。
こちらの動きに合わせてミミズクの頭も回転していき、
常にこちらを正面にとらえるフクロウの仲間独特の
あの動きを見せてくれます。
そしてとうとう直線距離で約3mの所まで接近に成功!
相変わらずこちらを正面からじっと見ています。
逃げる気はないようですが、このあたりが限界と判断、
そっとカメラを向けてシャッターを切ります。

撮影成功!

その場を離れ、撮った写真から調べてみると
どうやらオオコノハズクという種類のミミズクのようです。
同じミミズクの仲間のアオバズクの声は
仙台市内でも夏になると割とよく聞こえてきますが、
この種類は(恥ずかしながら)この時初めて知りました。
今まで見たことが無い生きものの、
しかも野生の姿を見ることはいつだって楽しいものです。
 
ところで彼(彼女?)は一体何をしにやってきたのでしょう?
上から見て雨宿りにちょうど良いとでも思ったのでしょうか。
木の洞(うろ)に巣をつくる鳥ですから
雨宿りという概念はあるのかもしれませんが、
人家の屋根を利用することもあるのでしょうか。
仙台の自然を模した山・里・川エリアを
自然の林だと思って来てくれたのだとしたら、
少し嬉しいですね。
ただ、彼がいた場所のすぐ下の展示で暮らしている
カヤネズミたちにはかなりのプレッシャーだったかもしれません笑

白い柱の上部の出っ張りがオオコノハズクが乗っていたところ。
その手前の透明な箱がカヤネズミの展示。近い!

野生の世界と我々の世界は重なっている、
そんなことを実感させてくれたある夜の貴重な体験でした。


なおミミズクとは頭部に耳のように見える羽角があるフクロウのことで、「ズク」はフクロウの古語。