今年の夏に現れた見慣れない生きものたち
こんにちは。
魚類チームのOです。
いつの間にか季節が進み、寒い日が続いています。
先日まで「過去最高の気温更新!」やら
「季節外れの夏日を記録」など
暑さにウンザリしていた日々が
もうずいぶん遠い記憶のようで
懐かしい感じがします。
さて、この夏は全国的に平均気温の続きましたが、
海水温も例年よりも高く観測されました。
特に暖水渦の影響を受けて親潮が弱まっている東北沖では、
黒潮の影響を受けて平年よりかなり高い水温となりました。
海洋温度の変動は、海洋生物の生態系に影響を与えることが
知られています。
そのためか今年の夏は、普段あまり宮城県沿岸では
見られないような種が各地でみることができました。
残念ながら展示まで至らなかった種もありますので、
ここでご紹介したいと思います。
「イセエビ」
種名:イセエビ
学名:Panulirus japonicus
分類:十脚目イセエビ科
みなさまご存知の美味しいあのイセエビです。
本来宮城県沿岸ではほとんど漁獲されませんが、
近年少量ですが見られるようになってきました。
特に今年は大きな個体が多く、
石巻市田代島周辺の漁場では1度に20~30匹
獲れることもあったそうです。
「イトマキエイ」※現在展示はしておりません
種名:イトマキエイ
学名:Mobula mobular
分類:トビエイ目イトマキエイ科
“マンタ”の愛称でおなじみのエイです。
温暖性のエイで日本では千葉県以南に生息しています。
写真の個体は石巻市金華山沖の定置網に入網しました。
イトマキエイは遊泳力が強く一時畜養や、輸送が大変難しく、
残念ながら展示に結び付けることができませんでした。
「シロシュモクザメ」および「トガリザメの仲間」
※現在展示はしておりません。
種名:シロシュモクザメ 種名:トガリザメの仲間
学名:Sphyrna zygaena 学名:Carcharhinus.SP
イトマキエイや、シュモクザメなど
普段三陸沖ではほぼ見かけない生物達が数多く見られました。
搬入・飼育も試みましたが、シュモクザメ等も
遊泳力が強く一時畜養や、輸送が大変難しく、
残念ながら展示に結び付けることができませんでした。
来年も現れるかも!?と考えて搬入の準備をしておこうと思います。
ハコフグ(Ostracion immaculatus)
アオヤガラ(Fistularia commersoni i )
キンチャクダイ(Chaetodontoplus septentrionalis)
チョウチョウウオ(Chaetodon auripes)
セミホウボウ(Dactyloptena orientalis)
これらの種は、漁師さんの網の中に複数匹見かけ、今期夏場では見かけてもあまり驚かないほど普通種となっていました。
このようなゲスト生物が多かった半面、
普段三陸沖で見られる生物達の数が少なかったり、
あるいはとても元気がない状態でした。
このような海の変化に際して、
今後私たちができることや、
海の生態系・環境についても考えるきっかけになればと思います。
それにしても、今年はたくさん面白い生きものを見られて
はしゃいでおりましたが、
やっぱり今年の海はおかしかったなぁと思います。
来年は例年と同じ海が戻ってくることを切に願っております。