深海クッキング「深海の巨大ザメを食らう」
こんにちは。
魚類チームのOです。
仙台うみの杜水族館の深海展示では、
未利用深海生物の利用価値創出を目的に、
飼育員が実際に料理し、その様子を紹介する動画も公開しています。
生態がよくわからない深海の生物を食べてみたら、
なんか解かるかもしれない!?というものです。
しばらく、動画の作成が滞ってましたが、
新作の作成に取り掛かっています。
深海の巨大ザメこと、オンデンザメです。
基本的に食用にはなりませんが、肝臓が肝油の原料になるそう…。
ちなみに肉って食べれないのかな?
巨大で食べられたら良いのではないかなぁと思い、
調べてみるとこんな記載が。
「肉にトリメチルアミン-N-オキシドという毒があって、
焼いて毒抜きしないと食べられないと言われる。」
おおぉう…、毒あるんすか…。でも焼くと毒抜けるんだ…。
さらに調べてみると、
アイスランドではこのオンデンザメをある特殊な方法で
食べることが判明しました。
その名も“ハカール”
“ハカール”とはアイスランドの伝統食で、
ニシオンデンザメあるいはオンデンザメ類の肉を発酵させ、
乾燥させたものです。
他の食品とは比べ物にならないほどの高濃度のアンモニアを含み、
初めて食べる時はアンモニアを吸い込むことで
自然と吐き気を催すほどといわれています。
さらにこんな記述も…
「初心者向けではなく、容易ではない。
関わり合いになるべきではない」
と…。
これはますます興味がわいてきました。
色々調べましたが、日本にいたまま現地のハカールを入手することは
かなり難しそうです。というかやはり自分で作るからこそ、
色々なことが解かる!これは作るしかありません。
製法はというと、
Ⅰ.頭や骨、内臓を取り除き、キレイに洗います。
骨も柔らかく、肉もかなり水っぽい感じです。
さらに大きな肝臓も目を引きます。深海で浮力を得たり、
肝臓に深海の環境を生き抜くエネルギーをため込むためだと思われます。
Ⅱ.切り出した肉を土や容器に入れ重石を置き脱水しながら1~2か月程放置(発酵)
約1か月半放置したオンデンザメの肉です。
見た目は黄色い肉で特に異常は無いようにみえますが、
強いアンモニア臭があり、この世の物とは思えない悪臭を放ちます。
どう考えても食べ物の臭いではありません。
Ⅲ.風通しの良い日陰に干して数か月放置
こちらが数か月放置した肉です…。表面が真っ黒になりました。
やはりどう考えても食べ物には見えません。
ただ、不思議なことに強烈な悪臭はほとんど消えています。
Ⅳ.表面の黒い部分を取り除いて食べる!
黒い部分を取り除くと中に肉が、
なんとなく肉っぽいものが見えてきます…。
本場のハカールはこのまま食すようですが、
今回は念のため火を通してから食べることにしました。
※専門家の指導のもと、安全に配慮しています。
決してマネしないでください!
さて気になるお味は…。
口の中に、今まで感じたことが無い臭いが充満しますが…、
同時にとんでもない旨みも感じます!
という、とてもびっくりした結果となりました。
実をいうと、オンデンザメの筋肉には多くの脂質が含まれていることが
ある研究により明らかになっており、
調理方法によっては美味しくなることが知られています。
さらには、食べたことにより解からなかった
オンデンザメが深海で生き残るための秘密が推測することができました。
例えば……
詳しくは編集が終わり次第、館内で動画を公開します!
お楽しみに!