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世界初

みなさまこんにちは。魚類チームのTです。

水族館の展示水槽に使われている生きものの画像は大半がスタッフによる
水槽撮影ですが、今まで飼ったことがない生きものの画像については、
画像を提供してくれるライブラリーを利用することもしばしばです。
ライブラリーの提供する画像の種類は膨大なものですが、
そのほとんどが個人の撮影によるものです。
プロ、アマ問わずライブラリーに画像を提供し、
メディアの要求に応えているのがライブラリーなんです。

当然有償となりますが、撮影対象の難易度や版権の所在により、
価格の幅は大きく違ってきます。
提供されるのは、水槽内ではなく、自然環境で撮影される
「生態写真」というものです。

撮影者のほとんどはダイバーで、生物系の仕事に携わる人たちです。
限られた時間と空間の中で遭遇する確率の低い生きものの写真を
誰が先に撮るかという暗黙のルールが存在していて、
撮影された世界初の画像を紙上に公開したもの勝ちという世界です。
動画ではなくスチールでです。
そんな生物系カメラマン達の憧れは、今も昔も
「ナショナルジオグラフィック」の紙面を飾りたいというものです。
過去に友人が預けておいたライブラリーの画像が知らないうちに、
ナショジオに載っていたという事もありました。

40年前のこと。
自分も図鑑用の写真撮影を開始していたころ、
息抜きのファンダイブで東伊豆水深25mで、
新型水中ストロボの初使用中、突然ストロボが連続発光・・・水没。
大ショックを受けてふと上を見上げると・・「えっ マンボウ!」
とりあえず絞りを開放してマンボウ追いかけたら、
水深35mまで入ってしまい、慌てて戻りました。

エキジットしたあと、ダイビングステーションのスタッフ達が水深40mで、同じマンボウに遭遇したらしいですが、
またストロボ不発でさすがに40mは暗すぎて撮影は無理だったそう。
あとでストロボ2台壊したマンボウと言われていました。

撮影したものを確認してみると、

約80cmのマンボウ。

撮影できていました!

撮影当時にはマンボウとわかる水中写真は誰も撮っておらず、
とりあえず専門誌と新聞社に掲載することとなったのでたぶん世界初。

その後ダイビングブームとともにポイント情報が増えてきて
遭遇確率もかなり上がってきているようですが、
アメリカカリフォルニア州モンタレーのマンボウの群れの写真は凄いです。
その後も誰も撮っていないターゲットを追っては、
世界初(おそらく)は10点ほどありますが、
バブル崩壊辺りを境に出版物も休刊や廃刊が多くなってしまい、寂しいです。